• レジェンドブームを徹底検証!語ろう、新春1・8レジェンド・ザ・プロレスリング!!(PART.1/三又又三編)



    今年1月に旗揚げした『レジェンド・ザ・プロレスリング』。これは、かつて“金曜夜8時”に一大プロレスブームを巻き起こした立役者たちである藤波辰爾、長州力、初代タイガーマスクが中心となって定期開催をしているイベントで、いま、このレジェンドの会場が熱い盛り上がりを見せている。そこで今回、12月19日に新創刊となった“世の中とプロレスするひろば”『KAMINOGE』(かみのげ/東邦出版)編集部が、新春1月8日に後楽園ホールにて開催される『LEGEND THE PRO-WRESTLING 2012』に向けて、“上野毛道場伝説”を作った男たちに敬意を表し、“昭和新日本”“金曜夜8時”に熱狂させられた漢(おとこ)達にインタビューを敢行。それぞれに当時の熱い思いや、1・8後楽園大会の展望などを語ってもらいながらプロレス界において新たなマーケットを開拓したレジェンドを検証していく。第1弾は熱狂的な猪木信者である、お笑い芸人の三又又三さんです。
    【聞き手:井上崇宏(『KAMINOGE』編集部)】

    ■「長州さんのかませ犬発言は高校時代、“こんな俺にもなんかできるんじゃねえか?”って思わせてくれた」

    ――三又さんは昭和・新日本ファンにして、ガチガチの猪木信者なんですよね。
    三又 ええ。俺には8コ上の兄貴がいるんですけど、その兄貴の洗脳によって小学校低学年ぐらいには完全に猪木信者になってましたね。「全日はぬるいけど、新日はヤバいんだよ」みたいな(笑)。
    ――8コ上といったら、子どもからしたらもう絶対的存在ですよね。
    三又 そうそう。それで俺の小学校低学年のときは、やっぱりタイガー・ジェット・シンが異常に怖くてねえ。兄貴がすぐに俺に情報を入れてくれるんですけど、「おまえ、ヤバいぞ」と。「猪木が倍賞美津子と街で買い物をしてたらシンに襲われたぞ、おまえ。ヤベえよ。本当の××××だ」「ええっ!? それはヤバい!」みたいな。それとシンといえば、喉元を絞めつける技、何でしたっけ?
    ――コブラクローですね。
    三又 そうそう、コブラクロー! あれをいつだったか、試合前に奇襲でやられた猪木さんが失神しちゃって。そうしたらリングサイドにいたリングドクターが猪木さんの腕に注射を打ったんですよ!!
    ――あー、なんかありましたね!
    三又 「注射打つんだ!」と思って。あれを観てやっぱり「ヤバい!」と(笑)。そんなのをテレビで観ていて、それで巡業で俺の地元の(岩手県)花巻市にも来るんですよね。すると新日って公開練習をやるじゃないですか? あれがすごい楽しみでね。
    ――試合開始前にリング上でレスラーが練習をしてるんですよね。
    三又 そう。あれをね、客にも見せてくれるんですよ。藤原組長がリーダーみたいな感じで、みんなで練習をして。それで俺が今でも憶えているのは、あれは猪木さんがウイリー・ウイリアムス戦が決まったあとぐらいのときだったんだけど、公開練習を見ていたら、地元のチンピラ風の怖い人たちがバーッとリングの近くに寄ってきて、「おい、猪木、オラー。おまえ、八百長なんかすんじゃねえぞ!」みたいなことを言ったんですよ。
    ――ええっ!?
    三又 そうしたら、周りの空気がピタッと止まって、若手もみんなパッと練習が止まったら、柔軟をしていた猪木さんが立ち上がってね。そのチンピラにガーッて向かって行って、「なに、てめえ、この野郎! 出て行け、コラァ!」って怒鳴ってね。それで、そこにちょっと背の高い若手が、スタスタとそのチンピラに寄って行って、腕を逆に極めながら外に連れて行ったんですよ。
    ――もしかして、その若手は……。
    三又 いま思うと、前田日明なんですよ!
    ――すごいシーンを観てますね(笑)。
    三又 そのチンピラも震え上がっちゃっててねえ。で、前田が裏に連れて行ったわけじゃん。あのあとどうなっちゃったのかとか、もう何もかもが怖くて……。それがまだ俺が小学校4年生とかですよ? それで、その日のことでいまでも憶えているのが、猪木さんが先に練習をあがったんですよ。俺はそれをワーって追いかけて行って、「猪木さん! ウイリー戦、がんばってください!」って言ったら、猪木が「はい~」って後ろ姿のまま手を挙げてくれて。
    ――かっこいいですねえ。
    三又 完全にそのシーン、いまでも映像で憶えてますもんね(笑)。あとはやっぱりモハメド・アリ戦ですよ! たしか土曜日の午後だったんだよな。それで次の週に学校に行ったらみんなが言うわけですよ、「なんだよ、あれ? 猪木、寝っ転がっちゃってよ~」って。それを俺が全部説明したっていう。「いやいや、違うんだよ。あれはルールでしょうがなかったんだ」って。「組んじゃいかんのだよ」って、なんだか知らないけど俺がひとりで力説したんですよ。
    ――あれはがんじがらめのルールだったんだと(笑)。
    三又 もうムキになってみんなを説き伏せてね。懐かしいなあ。まあ最終的にクラスの男子全員を猪木信者にしましたけどね、俺の説得のかいあって(笑)。で、猪木から始まって、それで次が藤波さん登場ですよ! あの当時、強烈にかっこよかった!!
    ――マジソンスクエアガーデンでWWWFのベルトを奪取して。
    三又 そう! とにかく、あのマッチョな感じがすごいかっこよくて、ドラゴン・スープレックスなんて技もすごい恐ろしかったし、あとは場外に飛ぶっていうのを、俺は生まれて初めて観たので。
    ――ドラゴンロケット。
    三又 異常にかっこよかったですよね。そういうのを経て、俺が高校生になったときのことですよ! 長州さんの“かませ犬発言”が飛び出したのは! あのころって、やっぱり高校生で多感なときなんだけど、いわゆる長州みたいなアンコ型の人が主役になれるんだっていう。なんか高校生のころっていうのは、ちょっと大人になってくるというか、「違うんだ。俺だってこんなもんじゃないんだ!」っていう感情が芽生えるときだから。そんなときに上に喰ってかかって行く長州さんにはシビれましたよね。
    ――元祖“反逆のカリスマ”ですよね。
    三又 そうそう。しかも、ビジュアルがかっこよくないっていうのが逆に良くて。「こんな俺にもなんかできるんじゃねえか?」っていう。
    ――だから奇跡的な集まりですよね。ひとつの団体に猪木、藤波、長州がいて、そこにタイガーマスクもいるっていう。
    三又 それで、そのあとに前田日明も控えてるからね!(笑)。
    ――とんでもないですよね(笑)。
    三又 だから、今年旗揚げした『レジェンド・ザ・プロレス』が人気だっていうのも、やっぱ、それを観て燃えてんのはほぼ俺ら世代でしょ?
    ――そうなんでしょうね。
    三又 藤波、長州といてタイガーマスクも出てるんだもんなあ。初代タイガーマスク登場は俺が中学校のときだよね。あんな動きを観たことがなかった!
    ――既視感ゼロという。
    三又 で、恐ろしいのはいま改めて当時の映像を観てもすげえっていう。なんなの、あのステップ!?
    ――時間の経過とともに、のちにいろんなすごい選手、すごい技が出てきて、「タイガーの時代よりも進化してるな」って思ってたりもしてましたけど、改めて観るとタイガーが一番すごいんですよね。
    三又 そう! それがすごいよね。動きのキレとか、軽やかさ。あとはやっぱりステップだよ。トントントンっていうあのステップと、ローリングソバットの速さ! ホント、恐ろしいよ! 

    ■「エル・サムライが初代タイガーを相手に初めて刀を抜くかもしれない! 考えただけで恐ろしい……!!」

    三又 次、『レジェンド・ザ・プロレス』はいつやるんですか?
    ――来年の1月8日ですね。ここに対戦カード表がありますけど。
    三又 え~と、藤波辰爾&長井満也組vs藤原喜明&石川雄規組? 藤原組長も出てるんだ! やっぱ組長っていったら、藤波とは陰と陽の関係というかね。
    ――むかし猪木さんが「パーティーには藤波を連れて行って、ジャングルには藤原を連れて行く」って言ってたっていう話がありますけど(笑)。
    三又 そうだねえ、たしかに猪木さんじゃなくても俺でもそうするでしょうねえ(笑)。でもさ、組長は俺と同じ岩手出身だから! いうなれば組長は岩手初のテロリストだから。それは思い入れありますよ。それと試合前の公開練習でも常に一番えらい人っていう雰囲気だったもんね。それは俺、幼心にも感じてた……って何これ!? 長州vs橋本大地!?
    ――異常に食いつきましたね(笑)。
    三又 こ、これは大地がこの世代の誰とやっても、俺はキュンときますよ! しかも長州力ときたら! 俺は今年、IGFを一回観に行ってるんですよ。そのときにグッときたのがタッグの試合なんですけど、藤波&マスクド・ゲノムJr.組vs大地&大谷晋二郎組っていう試合で。藤波と大地が同じリングに上がったときに、やっぱグッときましたもんね。非常に感じるものがありましたよ。だから、「それが今度は長州か!」っていう。
    ――ファンにとってはいろんな記憶が蘇ってきますよね。橋本真也との確執とか。
    三又 (聞かずに)やっぱりねえ、藤波さんだけが唯一、僕がやった舞台『お~い! 竜馬』に協賛をしてくれたんですよね。
    ――藤波さんが協賛ですか?
    三又 はい。だからパンフレットにもちゃんと、藤波さんのドラディションの広告を入れて。で、そのご縁で一回新宿フェイスに試合を観に行ったんですよ。そのときに思ったのが、「長州、まだ怖え……!」っていう(笑)。
    ――いまだに怖いですよね(笑)。
    三又 怖さがまだあるっていうね(笑)。そういうのがあるんで、リング上の闘いを通じて大地に何かを注入して欲しいよね。(長州の声マネで)「おまえがなぜここに立っているのか? これはどういうことなのか? プロレスってなんなのか?」っていう部分を。大地は大地でね、そりゃ大変だと思うよ。だけど、やっぱり出自からして恵まれてるわけだから。それでプロレスラーになったからには、そういう怖さも味わっておかないと。これは観たい! でねえ、じつはさっきからずっと気になっているのが、この初代タイガーvsエル・サムライですよ!
    ――おお? どうしてそんなに気になるんですか?
    三又 あのですねえ、やっぱり初代タイガーっていう存在はたしかにでかいけども、エル・サムライってね、リアルに俺の近所に住んでた幼なじみなんですよ! むこうが一コ上で!
    ――あっ、そうなんでしたっけ!?
    三又 そうですよぉ! エル・サムライは『松重(まつじゅう)ストア』の次男坊ですから! 小学校のときなんか――俺は“松重”って呼んでたんですけど(笑)、自転車も松重さんだけドロップハンドルなんですよ。
    ――なんでひとりだけドロップだったんですか?
    三又 だって身体がデカすぎて、サイズの合うチャリンコがなかったの!
    ――なるほど。大人の規格なんですね。
    三又 俺らがガチャガチャ変速のスーパーカーライトではしゃいでるときに、あの人だけはドロップハンドルで十何段変速みたいな! とにかく規格外だったの。で、少年野球のユニフォームもあの人だけ色とか違うの。子ども用のサイズが合わないの!
    ――大人用サイズなんですね。一見するとコーチと見まごうような。
    三又 そう。で、ホームランしか打たない。
    ――本当ですか、それ(笑)。
    三又 当たれば全部ホームラン。しかも飛びが半端ないの。あの人はそういうバケモンでしたから……。少年野球が夕方に終わります、それでそのあとの楽しみが何かっていったら、みんなで近所の駄菓子屋に行ってワイワイやるじゃん。だけど、そこに松重さんだけいないんですよ。なんだと思います? 
    ――なぜでしょう?
    三又 ひとりだけ駄菓子屋じゃなくて肉屋に行って、チキンを買って喰ってるの! で、チキンを喰いながら遅れて駄菓子屋にやってくるんですよ! それでコーラだけ買って、肉屋のチキンをボリッボリ喰ってるの(笑)。それが妙にうまそうなんだけど、本当に怖かった!
    ――小学生が道端で肉喰ってたら怖いですよねえ(笑)。
    三又 怖いなんてもんじゃない! みんなはベビースターとか三色アイスで「うわっ、当たった!」とかワイワイやってるときに、ひとりだけ肉を喰ってるんですよ? 『かどっこ』っていう駄菓子屋だったんですけど。『かどっこ』のババアからコーラだけ買うっていう……。
    ――運動終わりで肉を欲するっていうのは、完全に規格外ですね。
    三又 松重さんはマジですごいっスよ。ちょっとぉ、もっと想像してくださいよ! ひとりだけ肉屋に行ってチキン買って、駄菓子屋ではコーラだけ買って、俺らと一緒にニヤニヤしてるっていう。思い出しただけで、超怖いですよ……。
    ――甘味には興味を示さず、栄養を取りにくるっていう(笑)。
    三又 そうそう。完全に大人(笑)。松重さんはそういう伝説の人でした。そういう部分ではかなり思い入れがありますよね。
    ――松重さんもプロレスが好きだったんですか?
    三又 やっぱり、地元のプロレス会場にはいつもその姿がありましたよね。しょっちゅうプロレスを観に行くガキンチョのメンツってほぼ決まってたじゃないですか? そこに松重さんはいましたからね。その少年がのちに新日に入ったんだから!
    ――やっぱり、町で一番のバケモンだったみたいな人がレスラーになるんですねえ。
    三又 そうですね。完全に選ばれし者ですよ。だから本当に野球と一緒ですよね。プロ野球って、4番でピッチャーの集まりでしょ? それがプロの世界に入ると、8番とか、2番とか、補欠とかってなる。プロレスもそういう世界ですよ。松重さんはバケモンでしたから。中学校のときなんて、それこそ大人と子どもですよ。俺らの中学校って、市内で一番でかくてヤンチャな学校だったんですけど、松重さんは不良ではないんだけど、喧嘩になるとかならず狩り出されるっていう。「松重、ちょっと来てくれ」って言って、ダーンって立ってるだけで、相手は「ヤバい…!」ってなってもう解決っていう。
    ――男として一番かっこいいキャラですよね。まさにサムライじゃないですか(笑)。
    三又 しかも、いまだ刀を抜いてないですから(笑)。
    ――では、三又さん的には1・8はエル・サムライに注目ということで。
    三又 そうですね。俺の中では松重さんへの思い入れが深すぎますので。1・8は松重さん、初代タイガーを相手に初めて刀を抜くかもしれないっていう……。もう、そんなこと考えただけで夜も寝られませんよ……!!


    三又又三(みまたまたぞう)プロフィール
    1967年5月27日生まれ。岩手県出身。
    仙台育英高校時代にはレスリングで県大会2位(60kg級)の実績を持ち、新日本プロレス入りも考えたという。
    2005年より武田鉄矢原作、小山ゆう作画の名作漫画『お~い!竜馬』を自身の企画・プロデュース・主演で舞台化、そのまんま東、宮川大輔らを共演者として迎えるなど、ライフワークとして精力的に展開しつつ、単独ライブ『三又又三のかく語りき』を定期的に開催。2009年2月、北野武監督作品、映画『アキレスと亀』で東スポ映画大賞新人賞受賞。
    2012年1月6日(金)から2月12日(日)までBunkamuraシアターコクーン(東京都渋谷区)にて「下谷万年町物語」(作:唐十郎 演出:蜷川幸雄)に出演する。

    LEGEND THE PRO-WRESTLING 2012
    新春1月8日(日)後楽園ホール
    開場11:15/開始12:00

    【対戦決定カード】
    <メインイベント(第六試合)タッグマッチ 60分1本勝負>
    藤波辰爾&長井満也 vs 藤原喜明&石川雄規
    <セミファイナル(第五試合)シングルマッチ 60分1本勝負>
    長州力 vs 橋本大地
    <第四試合 シングルマッチ 45分1本勝負>
    初代タイガーマスク vs エル・サムライ
    <第三試合 タッグマッチ 30分1本勝負>
    田中将斗&石井智宏 vs 本間朋晃&アレクサンダー大塚
    <第ニ試合 タッグマッチ 30分1本勝負>
    ヒロ斉藤&ベアー福田&倉島信行  vs スーパー・タイガー&タイガー・シャーク& 間下隼人
    <第一試合 新春!お年玉マッチ 30分1本勝負>
    菊タロー vs えべっさん

    お問い合わせ:LEGEND THE PRO-WRESTLING実行委員会 03-5951-1488